有用な新規シクロプロパン試薬:Potassium Cyclopropyltrifluoroborate
Chemical Synthesis
シクロプロピル基は多くの天然物構造によく見られる置換基であり、最近では、広範囲抗菌剤であるサイプロフロキサシン(Figure 1)のように医薬品にも取り入れられています。シクロプロパン環を導入する一般的な方法は、臭化シクロプロピルマグネシウム(製品番号526797)などのようなシクロプロピル基を有する有機金属試薬の利用です。
また、クロスカップリングによりハロアレーンやハロオレフィンの反応によってシクロプロピル基を導入することも可能であり、Figure 2 に示すようなシクロプロピルボロン酸およびピナコールエステル、トリフルオロホウ酸カリウム塩の鈴木カップリングが最もよく研究されています。
Pd(OAc)2, PCy3, K3PO4の存在下、芳香族ヘテロ環ブロミドや種々の置換ブロモベンゼン求電子剤とシクロプロピルボロン酸との良好なクロスカップリングがメルクの研究者により報告されています(Figure 3)1。
しかしながら、シクロプロピルボロン酸には、合成が困難、不安定、無水物であるために化学量論が不明(大過剰の当量が必要となる)などの欠点があります。ピナコールエステルにはこれらの問題はないものの、3分の2当量の未反応のピナコールを反応終了後に除去しなくてはなりません。これらの課題をふまえ、CharetteとDengらの研究グループは一般的なPd触媒を用いて芳香族ブロミドと置換シクロプロピルトリフルオロホウ酸カリウムとのクロスカップリングを報告しています(Scheme 1)2,3。有機トリフルオロほう酸塩は対応するボロン酸に比べて安定性が高くより定量的な反応が期待できます。一般に空気中で取り扱い可能であり、湿気に対しても安定です。さらに、水で処理することにより、反応混合物から副生成物の塩を簡便に除去できます。
Product information
| 製品番号 # | 製品名 |
| 662984 | Potassum cyclopropyltrifluoroborate |
- ボロン酸試薬リスト
その他の情報
- Wallace, D. J.; Chen, C.-y. Tetrahedron Lett. 2002, 43, 6987.
- Charette, A. et al. Synlett 2005, 11, 1779.
- Fang, G.-H. et al. Org. Lett. 2004, 6, 357.
References: