有機電界効果トランジスタ(Organic Field Effect Transistors)1
Professor Dan Frisbie
Crystalline Organic Semiconductors Interdisciplinary Research Group
University of Minnesota, Minneapolis, Minnesota
実用的で低価格なプラスチック電子技術の実現に向けた進展具合は、有機半導体のキャリア移動度に関する最先端の研究動向に大きく依存しています。有機半導体技術が今後どのように普及するかは未知数な部分が多いですが、電子ペーパー、スマートラベル(ICタグ)、フレキシブル・フラットパネル・ディスプレイ、太陽電池、固体照明といった新製品には非常に高い潜在需要があります。我々の研究グループは、有機半導体の構造がどのようにキャリアの速度を決定するのか理解することに注力し、2つの目標を設定しました。一つは構造と特性の関係を明確にすること、もう一つは電子と正孔の移動度を最大化し、電界効果トランジスタ(FET: Field Effect Transistors)で応用して将来プリントプラスチック回路で利用できるようにすることです。
有機物質中での電荷移動度を高める方法を見出すことは、大きな可能性を秘めた基礎研究です。ペンタセン(Aldrich製品番号:P1802(no purity)、684848(sublimed grade, 99.9+%)、698423(triple-sublimed grade, 99.995+%)、可溶性前駆体)薄膜での常温下の正孔移動度は現在約1cm2/Vsであり、これは、商業的にも成功した薄膜半導体物質である水素化アモルファスシリコンで得られる電子移動度に相当するものです。しかし、有機半導体では更に高い移動度を得ることが望まれます。また、p型とn型の両方の有機半導体を使用するいわゆる相補型回路ができるように、新しいn型、つまり電子伝導性の有機半導体物質の発見も望まれています。有機半導体に関するその他の問題点としては、しきい電圧、オン・オフ電流比、動作安定性と環境安定性などがあります。
有機エレクトロニクス技術の中核には、分子固体の設計と組み立ての方法、および、電子の非局在化と結晶構造との関係について数多くの基本的な問題があります。これらの問題を解決するには、構造と特性の関係を明確にしなければなりません。たとえば、分子間相互作用の強度と対称性に基づく電子の非局在化など、電気伝導のために何が重要であるかについては一般的に認められた概念がありますが、分子物質においてこれらの概念から派生した問題はまだ浮上してきたばかりであり、有機エレクトロニクス技術は現在精力的に研究が行われている分野となっています。

図1 有機電界効果トランジスタ(OFET)でn型有機半導体として機能するジアルキル置換ペリレンジイミドの分子構造
(Aldrich製品番号:663921(R=C5H11, PTCDI-C5)、663913(R=C8H17, PTCDI-C8)、663905(R=phenyl, PTCDI-Ph))

