アンチモンとビスマスの金属間化合物(Intermetallic Compounds of Antimony and Bismuth)11
Prof. Arthur Mar
Department of Chemistry University of Alberta, Edmonton, AB Canada
金属間化合物は、一定の化学量論比によって金属で構成された化合物です。周期表の大半を金属元素が占めることを考えると、その組合せは膨大な数になります。ここ10年間、我々はアンチモン金属間化合物について、そして近年は、ビスマスの金属間化合物についての化学的性質について研究してきました。様々なアンチモン化合物、例えばLaFe3CoSb12(熱電気)、Eu14MnSb11(巨大磁気抵抗)、Ce3Pt3Sb4(重フェルミオン)などの物理的特性に興味を惹かれ、結合と特性の構造的な関係に注目してきました。
希土類化合物
希土類元素(RE: Rare Eatrh)、d-ブロックまたはp-ブロックの金属(M = たとえばGa(Aldrich製品番号: 203319(99.9995%)、Aldrich製品番号: 327395(powder, 99.999+%)))、Sb(Aldrich製品番号: 266604(99.999%)またはBi(Aldrich製品番号: 264008(99.99+%)(Pn = プニコゲン)から成る三成分系Re-M-Pnには、非常に興味深い化合物の例がいくつかあり、それらの結晶構造で広範囲のプニコゲン-プニコゲン結合が生じます1。La13Ga8Sb21(図1)では、Ga6のリングとその間を5つの原子でできたSbのリボンがほぼ平面的にリンクし、その中にLa6が三角プリズム状に存在するような構造を持っています。興味深いことに、La13Ga8Sb21は、2.5K以下で超電導転移を示します2。関連化合物には、3原子分と4原子分のSbリボンを持つRE6Ge5-xSb11+xと、3原子分のBiリボンを持つLaGaBi24があります。Mがd-ブロックの金属のとき、希土類原子のf電子と遷移金属原子のd電子のカップリングにより、磁気秩序がしばしばみられます。たとえば、強磁気秩序は一連のRECrSb3化合物で観測されます5-6。これらの化合物は一般に、アーク溶解法または高温(1000℃まで)でのルツボ内での溶解のどちらかで、金属元素成分を直接的に反応させることで合成します。

図1 La13Ga8Sb21の結晶構造
遷移金属化合物
これまで多くの二元系金属間化合物について詳細に調査されてきましたが、依然として驚くような発見があります。Zr-Sbの二元系には非常に多くの化合物があり、Zr3Sb、Zr2Sb、Zr5Sb3、Zr11Sb18、ZrSb2などがあります7。最近、我々はアーク溶解に続けてアニールをすることで、新しい組成相Zr7Sb4を発見しました8。これは、狭い温度域(1000〜1150℃)でのみ存在します。Zr7Sb4の構造はW5Si3型と非常に類似しています(図2)。Zr7Sb4の「スラブ」2つ分の厚さの「スライス」が、Zr-ZrとZr-Sb間の強力な相互作用でつなぎ合わされています。W5Si3型構造は金属間化合物でよく見られる重要なもので、Zr5M1-xPn2+x(M = Cr, Mn、Pn = Sb, Bi)などの三元系遷移金属アンチモン化合物とビスマス化合物も同じ構造をしています9。W5Si3型構造では4つの異なる原子サイトを持つので、サイトの元素を置き換えることで数多くのタイプの化合物を作製できる可能性があり、Nb4Pd0.5SiSbなどの四元系化合物では均一な結晶構造を得ることができます2,10。

図2 W5Si3とZr7Sb4の結晶構造

