メソポーラス材料(カタログ199ページ)
メソポーラス分子ふるいとも呼ばれるメソポーラス材料は3次元ナノ構造の一種で、均一で規則的なメソスケール(直径2〜50 nm)の細孔と1000 m2/g前後の表面積を持ちます1。この材料は、形状が均一で規則正しいという特徴を持つため、結晶ゼオライトと、他の3次元構造材料(たとえば100nmより大きな3DOM材料や直接描画材料)の中間的な性質を持つ特殊な存在です。
メソポーラス材料は、自己組織化プロセスによって、ゾル-ゲル前駆体(金属アルコキシドなど)と構造規定性両親媒性物質(通常はブロックコポリマーや界面活性剤)の混合液から形成されます(図1)2,3。自己組織化鋳型法による「ワンポット合成」は柔軟性が高いため細孔のサイズと3次元形状(中間相)を同時に制御することができます。さらに、有機シロキサンRSi(OR’)3 やビス(有機シロキサン)(R’O)3Si-R-Si(OR’)3 など、有機官能基で修飾された前駆体を最初の反応混合物に加えることで、細孔表面の官能性を変更することもできます。他方、自己組織化構造の規則性や配向性を広い範囲で制御することは比較的難しいため、この種の材料は通常、3DOM材料や直接描画材料と比較すると、欠陥が多く、構造正確性が劣ります。
このように3次元構造の作成方法によって、作成した材料の利点が異なるため、最適な用途がそれぞれ決まってきます。「柔らかい」両親媒性物質の鋳型で作られた秩序的なメソポーラス材料は、ゼオライトのもつ細孔サイズの制約を克服し、かさ高い分子を拡散しやすくします。この材料は、広い範囲における材料の秩序性がそれほど重視されない触媒技術や吸着技術に向いています。各種メソポーラスの製品リストは、「ナノ材料」のページからご参照ください。

図1 メソポーラスシリカ(MCM-41)の合成経路の模式図2。(i)臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)などの界面活性剤を用いて水中に液晶ミセルを形成します。(ii)テトラエチルオルトケイ酸(TEOS)などのセラミックゾル-ゲル前駆体をこのミセル溶液に加えると、加水分解および縮合を起こし、ミセル周辺にシリカのネットワークが形成されます。(iii)熱処理(焼成)または溶媒抽出で有機鋳型を除去すると、メソポーラスなセラミック材料(この場合は六方晶系秩序構造MCM-41シリカ)の骨格が得られます。
References
- Beck, J.; Vartuli, J.C. Curr. Opin. Solid State Mater. Sci., 1996 1, 76.
- Beck, J. S, et al. J. Am.Chem. Soc., 1992 114, 10834.
- Wan, Y.; Zhao Chem. Rev., 2007 107, 2821.

