薄膜の液相成長(カタログ140ページ)
ゾル-ゲルプロセスはアルコキシドの加水分解と縮合という一連の反応で構成されています。その反応スキームを図1に示します1。この例ではアルコキシシランを使用していますが、どの種類の金属アルコキシドでも反応は同様です。酸性、中性、または塩基性の条件下でシラン溶液に水を加えると、加水分解が始まります。

図1: ALDプロセスの1サイクルを示す模式図。図はTMAと水蒸気を前駆体とするAl2O3蒸着の簡略化したモデルです。
多くの金属アルコキシドは反応速度が非常に大きいため、触媒を使用しなくても加水分解反応および重合反応が進みますが、アルコキシシランの加水分解速度はそれよりもずっと遅いため、酸性または塩基性の触媒を添加する必要があります。金属アルコキシドの反応速度を低下させる目的で、乾燥制御剤(DCCA: drying chemical control additives)がしばしば用いられます2,3。DCCAの例としては、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、シュウ酸などが挙げられます。DCCA は反応中間体と水素結合を形成することで反応速度を低下させます。蒸発によりDCCA 溶剤を除去すると、反応を進行させることができます。
ゾル-ゲルプロセスがセラミック薄膜およびガラス薄膜の形成において有利であることには多くの理由があります。まず、ゾル-ゲルプロセスはシンプルな反応であり、入手困難な材料、触媒、高価な堆積用装置を必要としません。また、極端な反応条件を利用することもありません。反応は室温で起こり、反応で生じた水/アルコールを除去してゲルを「硬化」させるための適温を保つことだけを必要とします。ゾル-ゲルプロセスで作られる材料の特性は、有機基修飾アルコキシドや価数の異なる半金属を用いる(たとえば、アルコキシシランの代わりにアルコキシホウ酸を用いる)ことで容易に改変することが可能です。
ゾル-ゲルプロセスは、複合材料に使用されるS2グラスファイバー(高機能ガラス繊維の一種)の修飾に広く用いられています。ゾル-ゲル薄膜によるガラス表面のコーティングは、ガラスに強度と飛散防止性を与えます。ゾル-ゲル材料はまた、既存のポリマー構造を強化する目的で複合材料中でも用いられています。
ゾル-ゲル前駆体の全製品リストは「マイクロ・ナノエレクトロニクス」のページからご参照ください。

