リソグラフィー・ナノパターニング(カタログ126ページ)
ナノインプリントリソグラフィー
インプリント加工やエンボス加工は、硬いポリマー上に微細構造を形成する技術としてよく知られており、表面レリーフ構造を持つ剛体マスター(rigid master)を熱可塑性ポリマー薄膜に押し付けたままTg近傍(通常はそれ以上の温度)まで加熱して行います(図1参照)1。ナノインプリントリソグラフィー(NIL)は並列加工によるハイスループット化が可能であり、また複雑なツールを必要とせず、データストレージにおけるナノスケールでの複製を可能にします2,3。またNILは従来のデバイス加工技術との互換性もあります。ナノインプリント加工の特性は、Tg、溶融体の粘度、鋳型へのポリマーの接着性など多くの実験パラメーターに左右されます4。PMMAはインプリント可能な素材として最も広く用いられてきましたが、現在インプリント工程やその後のエッチング工程を最適化するために、種々の熱可塑性ポリマー・熱硬化性ポリマーの研究が行われています5,6。

図1: ナノインプリントリソグラフィーの概要の模式図
剛体マスターは、通常、電子線リソグラフィーにより作製し、サイズの範囲は10〜100 nmとなります。ポリマーフィルムにインプリントし、エッチングすることで、下の基板にパターンを転写することができます。別の方法として、金属蒸着させポリマーマスクをリフトオフ処理することによっても金属をナノパターン化できます。
ソフトリソグラフィー
NILは主に、硬い熱可塑性ポリマーにエンボス加工をする目的で利用されています。エラストマーのマイクロモールディングとエンボス加工は、マイクロコンタクトプリンティング(µCP)のようなソフトリソグラフィー技術においてこの材料の用途の重要性が見出されていることから、大きな関心を集めています7,8。この技術は、エラストマー製スタンプ[ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)製]を基板と等角接触させ、単層の材料を基板上に移すというものです(図2)。リソグラフィーを用いて作製したマスター上でポリマーをキュアすることにより、PDMSにサブミクロンの表面レリーフ構造が容易に形成できます。µCPの長所はサブミクロンレベルの表面パターニングを化学的に行えるという点にあります。

図2: マイクロコンタクトプリンティング(µCP)の概要の模式図
図はケンブリッジ大学化学科Melville研究室(ポリマー合成)のHongwei LiとWilhelm T.S. Huckの両氏より提供。
エラストマー製スタンプに低分子(チオールまたはシラン)インクを塗布し、清浄な基板(金またはシリコンウエハー)上に押し付けます。スタンプが表面と接触した部位で、単層の材料が基板上に移ります。次に、別の官能基を持つチオールまたはシランで処理して背景部分を覆うことにより、化学的パターンを持つ表面が作製できます。
チオール化合物の全製品リストは「マイクロ・ナノエレクトロニクス」のページからご参照ください。

